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昨晩の地震で被災された方々のご無事を心よりお祈り申し上げます。
みなさま、地震などの災害への備えはどうされていますか?
被災した際、被災地以外からの支援物資は最低でも初期3日は不足すると言われます。
そのため、初期3日以上を乗り切るための備えをしておく必要があります。
備えと言われても何を備えればいいの?と思うかもしれませんね。
物資と情報の両方を備えておくことをおすすめしていますので、少し長くなりますが、解説します。
(こうやって情報を知っておくのも大切な備えです!)
*なお、今回の投稿の情報源は「母と子の育児支援ネットワーク」および「あんどうりす」さんのサイトの中の、それぞれの情報のページから引用させていただきました。ぜひ、大元のサイトもご参照くださいね。
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水や食料、簡易トイレ、防寒グッズ、などなど、大人が必要な物資はよく言われていますよね。
乳幼児であれば、そこにおむつやお尻ふきなども必要になってきます。
また、今はコロナ禍でもあり、避難所に行く際も気にされる方も多いかもしれません。
おすすめのサイトを一つご紹介します。
防災アドバイザーのあんどうりすさんのサイトで、イラスト付きで分かりやすくまとめられています。
そして、乳幼児がいる場合は、栄養方法によって準備も異なってきますので、母乳を飲んでいる場合、ミルクを飲んでいる場合に分けて解説していきます。(混合栄養の方は、両方をご参照くださいね!)
まず、大前提として、災害時にお母さんがストレスを感じても、赤ちゃんが好きなだけ飲んでいれば母乳の分泌量は減りません!!
ストレスで出なくなる、と言われることもありますが医学的にはそんなことはありませんのでご安心ください。
ただし、逃げなくちゃ!という災害時には、赤ちゃんが吸い始めてから分泌されるまでに少し時間がかかったりすることはあるので、焦らずゆったりと授乳できる環境が必要です。
そこで焦ってミルクを補うと、おっぱいが「なんだ、いらないの。」と母乳を作らなくなることがあるので注意が必要です。
先ほど紹介したあんどうりすさんと、母と子の母乳育児支援ネットワークの本郷寛子さんが分かりやすく漫画にしてくれていますのでご紹介します。
つまり、母乳栄養や混合栄養のお子さんの場合は、赤ちゃんが遠慮せずに好きな時に好きなだけ母乳を飲める為の備え、が必要です。
授乳ケープなど、赤ちゃんが周りを気にせず母乳だけに集中できるようにしてあげてもいいかもしれませんし、ママが周りの目を気にせず授乳できるようなミニテントを備えている方もいらっしゃいます。
混合栄養の方でも、好きな時に好きなだけ飲ませてあげることで母乳分泌が増えてくる場合もあります。また、母乳には災害時にも赤ちゃんを守ってくれる免疫物質も沢山含まれていますから、赤ちゃんが欲しがるときに欲しがるだけあげてくださいね。普段から母乳を飲んでいるお子さんが母乳を飲み続けることで、ミルクが必要な子に行き渡るメリットもあります。
次に、混合栄養を含め、ミルクを飲んでいるお子さんの場合です。
災害時には、清潔にミルクを作って、清潔にミルクをあげる、という当たり前のことが困難になります。そこで、備えるのはそこを中心に、ということになります。
実は粉ミルクは滅菌されていません!!
そのため、清潔に粉ミルクを作成するためには70度以上のお湯で溶かす必要があります。清潔なお水、お湯を沸かす機材、清潔に溶かすための容器、などが必要になります。災害時にそれだけの準備をするのが大変、という方であれば、今は液体ミルクも利用可能です。ただし、液体ミルクはお値段も高めで賞味期限も短めなので、期限が切れないように注意は必要です。海外製のものだと、そのまま飲めるタイプと薄めるタイプなど複数あるので、避難場所でもらう場合はその辺りもご確認ください。
液体ミルクの注意点は母と子の育児支援ネットワークのこちらにまとまっています。
次に、清潔にミルクをあげる、という点です。
災害時、ライフラインもままならない状況に繰り返し使用する哺乳瓶は適さないと言われています。哺乳瓶を綺麗に洗って綺麗に消毒して使用することが困難だからです。そこで、哺乳瓶を使わずにミルクをあげる方法を知っておくとよいでしょう。小児科医としておすすめなのはカップ授乳です。
そう、新生児であっても、コップで飲むことができるんです!混合栄養だったり、ご病気をお持ちの方だったりで、普段からカップ授乳を利用している方もいらっしゃいます。
おすすめは、コップの縁が分厚くないものです。普段ならご自宅にある薄めのコップでよいのですが、災害時は紙コップがおすすめです。安く備蓄できますし、縁が薄くて赤ちゃんも飲みやすいです。
カップ授乳のやり方はこちらをご参照ください。
保護者の方と赤ちゃんが慣れるまではどうしてもこぼれてしまう分があります。多いと30%くらいは溢れると言われますが、慣れるとこぼさなくなります。
赤ちゃんが起きている時にあげる、赤ちゃんを縦に抱っこする(新生児の場合は首をしっかり支えてあげましょう)、赤ちゃん本人のペースで飲んでもらって、決して注ぎ込まない、ということがポイントです。
こちらも、母と子の育児支援ネットワークのこちらにまとまっています。
https://i-hahatoko.net/wp-content/uploads/2020/04/cupfeeding.pdf
また、ミルクは作成したものを置いておくことも、飲み残して後で飲むこともできませんので、赤ちゃんを守るために必ず作ったその場で飲んで、残った分は破棄するということを守ってください!!災害時に胃腸炎で命を落とすのはほとんどがミルク栄養のお子さんと言われますので、清潔なミルクをあげる、ということがいかに大切かがお分かりいただけるかと思います。
母と子の育児支援ネットワークには母乳栄養とミルク栄養の場合の注意点をまとめてあるものもあります。
地震など災害が起きないことが一番ではありますが、いつ誰に降りかかってもおかしくありません。
備えあれば憂いなし。ぜひ、今日ご紹介したような情報など、災害時に役立つ情報を印刷したものも災害時の備蓄にお入れくださいね。そして、災害に遭った際は一番大変な初期3日間を無事に乗り切りましょう。
オハナこどもクリニック赤羽
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★個々のお子さんについてのご質問は個別にお答えするのが困難ですので、ご心配なことなどがあれば受診を検討ください。なお、内容によってはオンライン診療も可能です。